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2022/06/01 防水トレンド情報

【技術基準の決定版】公共建築工事標準仕様書の過去から現在までを徹底解説

公共建築工事標準仕様書(標仕)は、建築物の品質確保、施工の合理化などを目的に官庁施設をはじめ様々なプロジェクトに使用されています。

標準的な仕様として認知されている標仕ですが、令和4年5月30日に令和4年版が発刊されました。

そこで今回は、過去の仕様書の変遷についてご紹介します。

この記事の内容

 1. 公共建築工事標準仕様書の変遷の概略

 2. 公共建築工事標準仕様書の変遷の詳細

 3. まとめ

1.公共建築工事標準仕様書の変遷の概略

昭和25年(1950年)旧建設省管理局営繕部により「建築工事共通仕様書」が制定され、平成16年版(2004年)より「公共建築工事標準仕様書」と名称を変更し、今日に至ります。 また、平成4年(1992年)に「建築改修工事共通仕様書」が発刊しています。(時系列が確認しやすいよう、以後和暦ではなく西暦で表記)

【変遷の概略】 黒字:新築  赤字:改修

~黎明期(アスファルト防水の時代)~

~発展期(各種工法の登場)~

~現在(新工法、環境対応型の登場)~

2.公共建築工事標準仕様書の変遷の詳細

【1950年~1965年】

アスファルト防水保護工法(屋上、地下、屋内)のみが仕様化され、主に

  • ルーフィング類:アスファルトフェルト、アスファルトルーフィング、網状ルーフィング
  • 防水工事用アスファルト:アスファルトコンパウンド、甲・乙種ブロンアスファルト

を使用していました。

【1969年~1985年】

1969年版よりアスファルト防水に露出工法(B-1、B-2、B-3)が仕様化されました。

1973年版よりアスファルト防水に絶縁工法(B-1、B-2、B-3)が仕様化されました。

砂付きルーフィングのJIS制定は1950年、あなあきルーフィングのJIS制定は1977年。

「合成高分子ルーフィング防水」「合成高分子塗り防水」が登場しますが、仕様の掲載はありません。

前者のJIS規格は1969年、後者は1976年に制定しています。

1981年版より呼称が塗り防水から、塗膜防水へと変更されています。

1985年版よりアスファルト防水保護密着工法に断熱仕様(AI-1、AI-2)が仕様化されました。

【1989年~2010年】

 1989年版になり、ようやく塗膜防水の仕様掲載が始まりました。種類は、

  • ウレタン系塗膜防水    :通気緩衝工法(X-1)密着工法(X-2、X-3)
  • ゴムアスファルト系塗膜防水:吹付工法(Y-1)手塗り工法(Y-2、Y-3)

 1993年版になり、合成高分子系ルーフィングシート防水の仕様掲載が始まりました。種類は、

  • 加硫ゴム系シート防水 :接着工法(S-1)
  • 非加硫ゴム系シート防水:接着工法(S-2)
  • 塩ビシート防水    :接着工法(S-3)機械固定工法(S-4)

 1997年版になり、アスファルト防水保護絶縁工法に断熱仕様(BI-1、BI-2)が仕様化されました。

 1998年、改修版である「建築改修工事共通仕様書」が発刊。

 2001年版になり、改質アスファルト防水トーチ工法の仕様掲載が始まりました。種類は、

  • 露出複層密着(AS-1)露出単層密着(AS-2)

 2002年改修版になり、改質アスファルト防水常温粘着工法の仕様掲載が始まりました。種類は、

  • トーチ工法 :複層密着(AS-1)単層密着(AS-2)複層絶縁(AS-4)単層絶縁(AS-5)
  • 常温粘着工法:単層密着(AS-3)複層絶縁(AS-6)

 2004年版になり、非加硫ゴム系シート防水が廃止され、新たに熱可塑性エラストマー防水の仕様掲載が始まりました。

【2013年~2022年】

 2013年版になり、新築工事において環境保全に関する仕様が大幅に増加しました。

  • 露出断熱工法が、塗膜(塗布)防水を除く全工法に採用。
  • アスファルト防水保護絶縁工法あなあきルーフィングに替わる部分粘着層付ルーフィングの採用。
  • 改修工事では既に採用されていた改質アスファルト防水常温粘着工法(AS-J1、AS-J2)が仕様化され、トーチ工法の種類も大幅に拡大。

外部リンク(国土交通省HPへリンクします)

3.まとめ

「建築工事共通仕様書」発刊から約40年間は、アスファルト防水のみが仕様化されていました。その後、塗膜防水、シート防水、改質アスファルト防水の順に仕様掲載されました。 今日でも、44種類ある仕様のうちアスファルト防水が約50%を占め、改質アスファルトシート防水を含めると、実に約70%を占めています。

防水の種類仕様(種類)の数
アスファルト防水16仕様(23種類)
改質アスファルトシート防水7仕様(7種類)
合成高分子系ルーフィングシート防水8仕様(8種類)
塗膜防水4仕様(4種類)
ケイ酸質系塗布防水2仕様(2種類)

次回ブログは7月1日(金)公開予定です。

「各種断熱材の特長と使い分け」