【5分で分かる】アスファルト防水の最新技術
アスファルト防水の誕生から110余年。今回は「高耐久」「環境対応」をキーワードに「アスファルト防水の最新技術」についてご紹介します。
この記事の内容
1. アスファルト防水熱工法とは?
2. 従来のアスファルト防水熱工法との比較
3. 更なる高耐久化(長寿命化対策)
4. まとめ
1.アスファルト防水熱工法とは?
アスファルト防水とは、シート状の防水材「ルーフィング(定形材)」を液状の接着剤 兼 防水材の「防水工事用アスファルト(不定形材)」で張付ける工法です。防水工事用アスファルトを「溶融釜」により加熱溶融することから熱工法と呼ばれています。
★語句解説★
【定形と不定形】 定形材とは「形が定まる」つまり、シート状(固形状)の材料です。 不定形材は「形が定まっていない」つまり、液状の材料です。 例)定形シール材と不定形シール材 |
2.従来のアスファルト防水熱工法との比較
A.ルーフィングの改質化
アスファルトルーフィングは、ラグ原紙にアスファルトを浸透・被覆させ表裏面に珪砂などを散布したもので、改質アスファルトルーフィングは、それぞれの原料を改質・改良したもので構成されています。
在来工法ではアスファルトルーフィングを4枚程度積層するのに対し、弊社工法では強度・耐久性に優れた改質アスファルトルーフィングを使用することで、同等以上の性能を有しつつ積層枚数を2枚とすることができます。
【改質アスファルトルーフィングの向上性能】
黒砂 :「耐久性」「撥水性」「接着性」が向上
改質アスファルト:「耐久性」「低温可とう性」が向上
合成繊維不織布 :「引張強さ」「引裂強さ」「伸び率」「耐久性」「低温可とう性」などが向上
★語句解説★
【ラグ原紙とは?】 綿やパルプを原料としたフェルト状のシートで、アスファルトを浸透・被覆させるための芯材として使用します。芯材の強度がルーフィングの強度に大きく影響します。 【改質アスファルトとは?】 アスファルトに「ゴム」や「プラスチック」を混ぜ合わせる(改質)ことにより、耐久性等を向上させたアスファルト。 →合成ゴム(SBS)や合成樹脂(PP)をアスファルトに添加して、感温性、耐侯性、耐久性等を向上させたアスファルト 【低温可とう性とは?】 低温時の柔軟性や折り曲げ強さのこと。 →可とう(撓)は、撓(たわ)むことができるの意 |
B.防水工事用アスファルトの改良
現在、国内市場において所謂「一般3種コンパウンド」は姿を消し、低煙低臭型防水工事用アスファルトが主流となっています。弊社では、更に環境負荷低減を実現した「シグマートEL」や国内最高の環境負荷水準製品である「シグマートE」の3種類からお選び頂けます。
製品名 | 適用 | 適正施工温度 | 設定上限温度 |
---|---|---|---|
シグマートS | 低煙低臭型(JIS認証品) | 230~250℃ | 260℃ |
シグマートEL | 環境対応型(JIS認証品) | 200~220℃ | 240℃ |
シグマートE | 超環境対応型 | 170~190℃ | 210℃ |
上記に加えて、常温で施工可能な防水工事用アスファルト「クリンアス」も選定可能です。
C.アスファルト溶融釜の改良
従来のアスファルト溶融釜は別名オープン釜とも呼ばれる様に、溶融時に煙や臭いが外部に流れますが、環境保全釜を使用することで煙や臭いの流出を最小限に抑えることが可能です。(釜の上部に蓋を設置し、煙の流れを循環構造に)また、電気溶融機は火気を一切使用せず施工することが可能です。
D.遮熱塗料の標準採用
弊社では、防水層の熱劣化や居住空間の快適性向上を目的として遮熱塗料を標準採用しています。遮熱塗料の詳細な解説 はこちらをクリックしてください。
【POINT】
防水層の劣化要因は様々ありますが、大部分は「熱劣化」です。
→その他に「紫外線劣化」「酸化劣化」「アルカリ劣化」などがあります。
3.更なる高耐久化(長寿命化対策)
弊社アスファルト防水の標準仕様に下記項目を追加することで、高耐久化(長寿命化対策)が実現可能です。
長寿命化対策を含め、弊社ではSDGs(持続可能な開発目標)に対して、8つのゴールへ継続的に取り組み地球環境に貢献することをお約束します。
【保護工法における高耐久化】
「積層枚数を増やす」ことで耐用年数を大幅に増やすことが可能です。
【露出工法における高耐久化】
「積層枚数を増やす」「高耐久アスファルトを採用する」「高耐候性遮熱塗料を複数回塗布する」ことで耐用年数を大幅に増やすことが可能です。
4.まとめ
以下4つの改良により、様々な効能を発揮します。
A.ルーフィングの改質化:省力化、高耐久化、防水工事用アスファルト使用量の低減
B.防水工事用アスファルトの改良:環境性能の向上
C.アスファルト溶融釜の改良:環境性能の向上
D.遮熱塗料を標準採用:高耐久化
また、積層枚数や、遮熱塗料の塗布量を増やすことにより「高耐久工法」とすることが可能です。
次回ブログは9月1日(木)公開予定です。