建物は風雨、光、熱、地震などの自然要因や、経年による老朽、劣化が進行することは避けられません。その建物を雨から守っている「防水層」も同じく経年により劣化します。ここでは各防水工法の代表的な劣化現象をご紹介します。
露出アスファルト防水の代表的な劣化現象
保護塗料の消失
雨、風、紫外線などの影響により、保護塗料が徐々に減耗し、消失した状態です。
保護塗料はその名の通り防水層を保護するために塗布されています。そのため、消失した状態のまま放置すると、防水層の劣化が進行していきます。
防水層の膨れ
スラブコンクリート内の水分が気化し、水蒸気圧が防水層を押し上げる現象です。小さなものについては殆ど影響ありませんが、防水層接合部に接触しているものは口開きに発展する可能性があります。
防水層の口開き
経年によるアスファルトの硬化・収縮により、防水層が徐々に剥離する現象です。
口開き部より、雨水が浸入する可能性があります。
※口開きは接着不良の場合もあります。
アスファルト防水保護コンクリート仕上げの代表的な劣化現象
ひび割れ
打設されたコンクリートの熱膨張・乾燥収縮や、スラブの挙動により発生します。既存防水層への影響は殆どありませんが防水層改修時には処置が必要です。
伸縮目地の突出
打設されたコンクリートの熱膨張・乾燥収縮や、スラブの挙動により発生します。
歩行の妨げとなる他、伸縮目地が機能しなくなることで防水層の押出しに発展する可能性があります。
防水層の押出し
伸縮目地が機能しなくなり、打設されたコンクリートの熱膨張・乾燥収縮や、スラブの挙動により発生します。
防水層の口開きや、破断に発展する可能性があります。
塩化ビニルシート防水の代表的な劣化現象
皺の発生
シートの収縮により発生します。
シートの口開きや、破断に発展する可能性があります。
ディスクの浮き
風の影響によるシートのバタつき(フラッタリング等)により発生します。固定ビスが緩んでいるため、耐風性に影響が出る可能性があります。
シートの破断
シートの収縮により発生します。
また、飛来物や、外的要因による損傷箇所より発展するケースもあります。
破断部より、雨水が浸入する可能性があります。
ゴムシート防水の代表的な劣化現象
皺の発生
シートを張り付けている接着剤の劣化により発生します。
シートの口開きに発展する可能性があります。
シートの破断
飛来物による損傷が発展するケースの他に、鳥が突くことで破断することもあります。
破断部より、雨水が浸入する可能性があります。
シートの口開き
シートを張り付けている接着剤の劣化により発生します。
口開き部より、雨水が浸入する可能性があります。
ウレタン塗膜防水の代表的な劣化現象
チョーキング現象
雨、風、紫外線などの影響により、保護塗料や塗膜が粉状になった状態です。
現状放置が続くと減耗に発展します。
塗膜の減耗
雨、風、紫外線などの影響により、塗膜厚が減少した状態です。
塗膜厚が減少すると下地のひび割れとともに塗膜が破断したり、剥離などの著しい不具合に発展する可能性があります。
塗膜の破断
下地のひび割れとともに塗膜が切れてしまう現象です。ワーキングジョイントや動きの発生する箇所にも発生します。
シングル葺きの代表的な劣化現象
シングル材の砂落ち
経年によるアスファルトの硬化・収縮により、砂が剥離した状態。
シングル材の破断
経年によるアスファルトの硬化・収縮により、シングル材のタブ部分が破断した状態。
現状放置が続くと、欠損に繋がる可能性がある。
シングル材の欠損
破断が発展し、シングル材が欠け落ちた状態。シングル材の飛散による2次災害に及ぶ危険性があります。