外壁下張材とは?
外壁では、モルタルのひび割れやサイディングの隙間から雨水が浸入することがあります。この雨水を躯体まで浸入させないように設けるものが外壁下張材です。また、壁の仕上げ方によって使用する外壁下張材の種類が異なります。
湿式の壁(モルタル仕上げ)
モルタル仕上げの壁にはアスファルトフェルトを使用します。
モルタル仕上げでは、左官の職人が手作業で施工するため、モルタル塗布時に模様をつけることができます。そのため、仕上がりに重厚感があることやオリジナル性が高いといったメリットがあります。
乾式の壁(サイディング仕上げ)
サイディング仕上げの壁には、透湿防水シートを使用します。
サイディング仕上げでは、表面にサイディングと呼ばれる外装材の板を固定していきます。この仕上げの特長は、デザインの種類が豊富であることやモルタル仕上げより比較的安価であるといったメリットがあります。
外壁下張材の規格
外壁下張材の規格は以下のとおりです。
- アスファルトフェルト ・・・JIS A 6005 (日本産業規格)
- 改質アスファルトフェルト・・・ARK 14w (日本防水材料協会規格)
- 透湿防水シート ・・・JIS A 6111:2016 A・B (日本産業規格)、JTC S-0002 (NPO 法人住宅外装テクニカルセンター規格)
アスファルトフェルトの規格
アスファルトフェルトはJISで制定されています。
日本産業規格 JIS A 6005
種 類 | アスファルトフェルト430 | |
---|---|---|
製品の単位面積質量の呼び | 430 | |
製品の単位面積質量 g/m2 | 430以上 | |
原紙の単位面積質量 g/m2 | 200以上 | |
アスファルトの単位面積質量 g/m2 | 原紙の単位面積質量以上 | |
鉱物質粒子の単位面積質量 g/m2 | ― | |
加熱減量 % | 5以下 | |
引張強さ N/cm | 長手方向 | 40以上 |
幅方向 | 20以上 | |
耐折り曲げ性 | 試験片10個中9個以上にき裂が生じないこと | |
アスファルトの浸透状況 | アスファルトの不浸透部分がないこと | |
耐熱性 | ― |
改質アスファルトフェルトの規格
改質アスファルトフェルトはARK 14wで制定されています。
日本防水材料協会規格 ARK 14w
試験項目 | 規 定 | |
---|---|---|
1巻の長さ m | 受渡当事者間の協定による | |
製品の幅 cm | ||
製品の単位面積質量 g/m2 | ||
改質アスファルトを含む瀝青分の単位面積質量 g/m2 | 300以上 | |
引張強さ N/cm | 長手方向 | 40以上 |
幅方向 | 20以上 | |
アルカリ浸せき後の引張強さの変化率 % | 長手方向 | 無処理試験値の80%以上 |
幅方向 | 無処理試験値の80%以上 | |
留付け部のせん断強さ N *1 | 65以上 | |
耐折り曲げ性(長手方向) | 無処理 | 試験片10個中9個以上に表面の亀裂や改質アスファルト層の破断が生じないこと |
加熱処理 | ||
寸法安定性 % *2 | 長手方向 | 0±1.0 |
幅方向 | 0±1.0 | |
ステープル穴シーリング性 | 試験体10 個中8 個以上に漏水が無いこと 貫通ステープルを通して下地裏面に漏水しないこと | |
防水性 | 試験片を通して試験片裏面に漏水しないこと |
*1 試験片幅50 mmに対してステープル1個当たりのせん断強さ
*2 基準長300 mmに対する変化率
透湿防水シートの規格
透湿防水シートは、JIS A 6111:2016 A・B、並びにJTC S-0002で制定されています。
日本産業規格 JIS A 6111:2016 A・B
試験項目 | 評価項目 | 透湿防水シートA | 透湿防水シートB |
---|---|---|---|
透湿性(透湿抵抗)m2・s・Pa/μg | 0.19以下 | 0.13以下 | |
強度 | 引張強さ N | 縦,横とも100以上 | |
つづり針保持強さ N | 縦,横とも27以上 | ||
発火性 | 発火しない。 | ||
防水性 | 水圧 kpa | 10以上 | |
耐久性 | 水圧 kpa | 8以上 | |
引張強度残存率 % | 縦,横とも初期値の残存率50以上 | ||
引張伸度残存率 % | 表示する。 | ||
熱収縮性 | 収縮率 % | 1.5以下 | |
防風性 (通過時間)s | 10以上 | ||
くぎ(釘)穴止水性 | 水位低下 | - a) |
注a) 規定しないことを表す。
NPO 法人住宅外装テクニカルセンター規格 JTC S-0002
試験項目 | 性能基準 | |||
---|---|---|---|---|
初期性能 | 引張強さ N/50 mm | 縦 | 150以上 | |
横 | 100以上 | |||
斜 | 100以上 | |||
引張伸度 % | 縦 | (測定値を記載する) | ||
横 | (測定値を記載する) | |||
引張強さ N | トラウザー引裂法 | 縦 | (測定値を記載する) | |
エルメンドルフ引裂法 | 縦 | (測定値を記載する) | ||
つづり針保持強さ N/30mm | 縦 | 30以上 | ||
横 | 27以上 | |||
熱収縮率 % | 縦 | 1.0以下 | ||
横 | 1.0以下 | |||
斜 | 1.0以下 | |||
透湿性 m2・s・Pa/μg | 0.13以下 | |||
発火性 | 発火しないこと | |||
防水性 kPa | 10以上 | |||
防風性(通過時間) s | 15以上 | |||
粘着力 N/25mm | 3.0以上 | |||
密着安定性 | 水漏れがないこと | |||
耐久性能 | 引張強さ 残存率 % | 縦 | 50以上 | |
横 | 50以上 | |||
斜 | 50以上 | |||
引張伸度 % | 縦 | (測定値を記載する) | ||
横 | (測定値を記載する) | |||
防水性 kPa | 8以上 | |||
粘着力 N/25mm | 2.5以上 |