屋根下葺材とは?
屋根を守る3つの組み合わせとして、屋根材、屋根下葺材及び屋根勾配があります。
屋根材は屋根を雨水から大まかに防ぎ、屋根下葺材を紫外線から守ります。屋根下葺材は屋根材の隙間から入った雨水が室内に浸入するのを防ぎます。さらに、屋根勾配を付けることで効率よく雨水を流します。この3つの組み合わせにより建物を雨水から守ります。
屋根下葺材の種類と規格
屋根下葺材は3種類あり、「アスファルト系ルーフィング」「透湿系ルーフィング」「高分子系ルーフィング」があります。この中で最も長い実績がある製品がアスファルト系ルーフィングです。特長は釘穴シール性(釘穴が閉まる性能)に優れている点です。
アスファルト系ルーフィングは主に3種類あります。
- アスファルトルーフィング ・・・原紙にアスファルトを浸透・被覆させたルーフィング
- 改質アスファルトルーフィング ・・・基材にゴムや樹脂を添加したアスファルトを使用したルーフィング
- 粘着層付改質アスファルトルーフィング ・・・改質アスファルトルーフィングの裏面に粘着層を設けたルーフィング
他に改質アスファルトルーフィングの中で特殊な機能を持つ、特殊改質アスファルトルーフィングがあります。
屋根下葺材の規格は以下の通りに制定されています。
- アスファルトルーフィングはJIS規格(JIS A 6005)
- 改質アスファルトルーフィングは日本防水材料協会規格(ARK 04s)
アスファルトルーフィングとは?
アスファルトフェルトとアスファルトルーフィングの構成の違い(アスファルトフェルト430とカラールーフィング)
原紙にアスファルトを含浸させた製品をアスファルトフェルトといいます。このアスファルトフェルトの両面にアスファルトを被覆し、表裏面に鉱物質粉粒を圧着したものがアスファルトルーフィングです。
アスファルトルーフィングは屋根下葺材として使用し、アスファルトフェルトは外壁下張材として使用します。
アスファルトルーフィングの規格
日本産業規格 JIS A 6005
種 類 | アスファルトルーフィング940 | アスファルトルーフィング1500 | |
---|---|---|---|
製品の単位面積質量の呼び | 940 | 1500 | |
製品の単位面積質量 g/m2 | 940以上 | 1500以上 | |
原紙の単位面積質量 g/m2 | 180以上 | 340以上 | |
アスファルトの単位面積質量 g/m2 | 400以上 | 650以上 | |
鉱物質粒子の単位面積質量 g/m2 | ― | ||
加熱減量 % | ― | ||
引張強さ N/cm | 長手方向 | 40以上 | 50以上 |
幅方向 | 20以上 | 25以上 | |
耐折り曲げ性 | 試験片10個中9個以上にき裂が生じないこと | ||
アスファルトの浸透状況 | アスファルトの不浸透部分がないこと | ||
耐熱性 | 被覆物のずれ落ち、発泡、浸透しているアスファルトのしみ出しなどが生じないこと |
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改質アスファルトルーフィングとは?
アスファルトルーフィングと改質アスファルトルーフィングの構成の違い(カラールーフィングとカッパ100)
改質アスファルトはアスファルトに樹脂やゴム等を添加し、釘穴シール性や低温可とう性(折切れのしにくさ)等の性能を向上させた材料です。合成繊維不織布はアスファルト含浸紙に比べて機械的強度が高く、寸法安定性に優れています。改質アスファルトルーフィングは、改質アスファルトと合成繊維不織布を使用することでルーフィングとして求められる性能を向上させた製品です。
改質アスファルトルーフィングの選定方法
改質アスファルトルーフィングの詳細については製品ページまたはカタログをご覧ください。
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機能性改質アスファルトルーフィングとは?
改質アスファルトルーフィングと機能性改質アスファルトルーフィングの構成の違い(カッパ100とアルバクリア)
機能性改質アスファルトルーフィングは、高温時のベタつきを抑制する等の特別な機能を持つ改質アスファルトルーフィングです。
表面に高品質の合成繊維不織布を使用し、色を白色系にすることで高温時のルーフィングの表面温度を抑制し、ベタつきを効果的に低減させます。
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粘着層付改質アスファルトルーフィングとは?
改質アスファルトルーフィングと粘着層付改質アスファルトルーフィングの構成の違い(カッパ100とカスタムシャット)
改質アスファルトルーフィングの裏面を粘着層にすることにより、以下の特長があります。
- ジョイント部が一体化するため水密性が向上する。
- タッカー留め等を行う必要がないため漏水リスクを低減する。
- 下地に密着することで耐風圧性が向上する。
粘着層付改質アスファルトルーフィングの選定方法
粘着層付改質アスファルトルーフィングの詳細については製品ページまたはカタログをご覧ください。
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改質アスファルトルーフィングの規格
住宅用の改質アスファルトルーフィングのJIS規格が無かったため、2004年にアスファルトルーフィング工業会(ARK)が改質アスファルトルーフィングの基本的性能を定めるため、「ARK規格 ARK 04s」を制定しました。そして、2018年にARKの事業を日本防水材料協会(JWMA)に移すことにより、JWMA規格となり現在に至ります。
日本防水材料協会規格 ARK 04s
試験項目 | 規 定 | ||
---|---|---|---|
1巻の長さ m | 受渡当事者間の協定による | ||
製品の幅 cm | |||
製品の単位面積質量 g/m2 | |||
基材の単位面積質量 g/m2 | |||
改質アスファルトの単位面積質量 g/m2 | |||
引張強さ N/cm | 無処理 | 長手方向 | 60以上 |
幅方向 | 40以上 | ||
加熱処理 | 長手方向 | 無処理試験値の80%以上 | |
幅方向 | 無処理試験値の80%以上 | ||
引裂強さ N | 長手方向 | 7以上 | |
幅方向 | 7以上 | ||
釘穴シーリング性 | リング釘 | 試験片10個中8個以上に漏水が無いこと | |
ステープル釘※ | 試験片10個中8個以上に漏水が無いこと | ||
耐折り曲げ性(長手方向) | 無処理 | 試験片10個中9個以上に亀裂が生じないこと | |
加熱処理 | 試験片10個中9個以上に亀裂が生じないこと | ||
改質アスファルト等の浸透状況 | 改質アスファルト等の不浸透部分がないこと | ||
耐熱性 | 被覆物のずれ落ち、発泡、浸透している改質アスファルトのしみ出しなどが生じないこと | ||
寸法安定性 mm | 長手方向 | 0±3 | |
幅方向 | 0±3 |
※ステープル釘を施工に用いないものについては、試験項目の適用外とする。
また、ARK 04sは、次の公的仕様書にも適合しています。
・公共建築木造工事標準仕様書
表14.2.1 改質アスファルトルーフィング下葺材の品質に適合しています。
・日本建築学会(JASS12)
「日本防水材料協会規格 ARK 04s(改質アスファルトルーフィング)に適合またはそれと同等以上の品質のもの」とあります。
・住宅瑕疵担保責任保険法人 設計施工基準
同解説やQ&A内で、取扱い可能な規格として紹介されています。
・住宅金融支援機構<フラット35対応>
木造住宅工事仕様書 :用語説明欄に記載されています。
枠組壁工法住宅工事仕様書 :用語説明欄に記載されています。