住宅瑕疵担保履行法と3条確認(適用除外申請)
設計事務所、建設会社から防水工事店にいたるまで、数多くの問い合わせがある中で、今回は「住宅瑕疵担保履行法と3条確認(適用除外申請)」を新築の屋上防水にフォーカスして、ご紹介します。
住宅瑕疵担保履行法とは?
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の施行により、住宅に「不具合(瑕疵)」が発生した場合、建設業者等は10年間その責任を負います。しかし、2005年に国土交通省が公表した「構造計算書偽造問題」を契機として
新築住宅の売主等が十分な資力を有さず、瑕疵担保責任が履行されない場合、住宅購入者等が極めて不安定な状態に置かれることが明らかとなった。(国土交通省資料抜粋) |
(主に建設会社が)その責任を果たすために「保険に加入」「供託金を確保」いずれかを実施しなければならないと定められた法律が「住宅瑕疵担保履行法」です。(2009年10月1日施行)
「保険の範囲」や「保険の詳細」については、弊社ホームページをご参照ください。
保険法人5社
上記を取り扱う国土交通省が指定した保険法人は「5社」あります。会社名をクリックすると、ホームページにリンクします。
対象範囲
住宅瑕疵担保履行法では、「構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分」に関する10年間の瑕疵担保責任を対象としています。
以後「保険加入」に関する条件(3条適用除外申請)についてご紹介します。
保険に加入するための条件(屋上防水)
保険に加入するための条件として、保険法人が定めた「設計施工基準」があります。
↓ 住宅保証機構HPに遷移します ↓
これは主に「日本建築学会JASS8」に準じていますが、物件により、この設計施工基準に記載された条文に「より難い(適合しない)」場合には、
設計施工基準 第3条(本基準により難い仕様)1.本基準により難い仕様であっても、当法人が本基準と同等の性能が確保されていると認めた場合は、本基準によらないことができる。 |
上記の条文により「同等の性能が確保されていると認めた場合」には「3条確認(適用除外申請)」を行うことが可能です。これには、
・個別3条確認:個別(物件毎)に確認を行う方法
・包括3条確認:防水材メーカー等が工法・仕様について包括的(事前に一括)に確認を行う方法
の2種類があります。
5社ある保険法人が定めたルール(設計施工基準)にない方法で施工をする場合に、その3条に記載されているように、その基準と同等の性能を確保されていると認めた場合は、施工が可能になることを意味します。(防水工法、防水下地、排水勾配など) また、2019年10月の設計施工基準改定により、「アスファルト防水」「改質アスファルトシート防水」「合成高分子系シート防水」「塗膜防水」と、それに類似する工法については「メーカー仕様」での施工をする場合でも施工可能となり、適用除外申請に「証明書」の添付が必要なくなりました。 |
弊社が申請している包括3条確認
設計施工基準に記載された内容で、下記事項について包括3条確認を行っております。
設計施工基準 第14条 防水工法1.防水下地の種類は、現場打ち鉄筋コンクリート又はプレキャストコンクリート部材とする。 2.防水工法は、次表に適合するもの又はこれと同等以上の防水性能を有するものとする。 → JASS8に2014年版に規定されている防水仕様 3.防水の主材料は、JIS規格に適合するもの又はこれと同等以上の防水性能を有するものとする。ただし、FRP系塗膜防水工法については、JASS8に適合するものとする。 4.防水層の端部は、防水層の種類・工法・施工部位等に応じた納まりとする。 |
1.鉄骨造についての3条確認を行っております。
2.カタログに記載のほぼ全ての仕様での3条確認を行っております。
設計施工基準 第17条 排水勾配1.防水下地面の勾配は、1/50 以上とする。ただし、保護コンクリート等により表面排水が行いやすい場合の勾配は、1/100 以上とすることができる。 |
1.上記以外の勾配でも適用可能となる3条確認を行っております。詳細は上記「弊社取得の包括3条確認書」をご参照ください。
その他、木造住宅における第7条(屋根の防水)、RC・SRC造における第19条(勾配屋根の防水)でも包括3条確認を行っております。
まとめ
防水工法:上記4工法又は類似する工法であれば、施工可能で証明書の添付が不要
防水下地、排水勾配など:これまで通り「証明書」の添付が必要
※「住宅保証機構」「日本住宅保証検査機構(JIO)」「住宅あんしん保証」の3法人についてはHPやパンフレット等で上記の様な紹介がありますが、「ハウスプラス住宅保証」や「ハウスジーメン」については直接保険法人にお問い合わせください。
一般的な申請の流れ
青:(主に)建設会社が 緑:(主に建設会社)保険法人への行動
次回ブログは2月1日(火)公開予定です。