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2024/03/01 問い合わせの多い質問

【建築設計者必見】意外と知らない地下防水

地下防水は、施工後の補修が困難なため、設計段階での納まりが極めて重要になります。

今回は、地下防水特に地下外壁の留意事項について解説します。

目次

  1. 地下防水が必要な箇所
  2. 地下外壁防水の概略と底部防水
  3. まとめ

 

1.地下防水が必要な箇所

地下防水において、主に使用する防水工法と施工部位は下記の通りです。

〇:適用 △:一部適用 ―:適用しない

種別防水工法名外部側内部側ドライエリア
改質アスファルト系メルタン21防水工法(トーチ)
カスタムPA工法(常温粘着)
シート系エチレン酢酸ビニル樹脂系シート
塗膜・塗布系アスファルト系塗膜防水
ウレタン系塗膜防水(吹付け)
アクリルゴム系塗膜防水
ポリマーセメント系塗膜防水
ケイ酸質系塗布防水

※ウレタン系塗膜防水は、内部側では「水の滞留」が少ない用途にのみ適用

【用語の解説】

 外防水(外部側) : 地下躯体の外部側(山留め側)に施工する防水

 内防水(内部側) : 建物内部側に施工する防水

 

2.地下外壁防水の概略と底部防水

地下外壁防水には大別して「先やり工法」「後やり工法」があります。

【用語の解説】

先やり防水 : (山留壁面を下地として)先に防水層を施工する工法(別途下地処理が必要)

         →掘削範囲が狭く、一般的には殆ど「先やり防水」

後やり防水 : 躯体コンクリートを打設した後に、防水層を施工する工法

         →掘削範囲が広く、敷地に余裕がある場合に限る

地下外壁  : 地下の外周にあり、地盤と接している壁面(別名:側壁、地下壁)

【施工の流れ】

※先やり工法では「山留め壁」「防水層」の種類により、下地処理の方法が異なります。

山留め壁とは?

地盤を掘削する際に、周囲の地盤が崩れないように矢板、堰板などで土を押さえ、その壁を腹起して切梁、親柱などで支持する架構のこと

 

POINT

 山留め壁の種類や仕様は「地盤強度」「掘削深さ」「地下水位」「コスト」などを勘案して決定します。

 それに対する防水工法の選定については、お気軽に弊社までご連絡ください。

 →最適な防水工法をご提案します。

 

地下防水(外防水)は、あらかじめ設計仕様として考慮されていなければ、追加で後から実施することはできません。 以下を参考に地下防水を設計してください。

【地下防水の検討事項】

 ▶ 建物の立地条件(河川敷、海岸線、地盤情報)

 ▶ 地下階のプランや用途(高い 書庫-居室-機械室 低い)

 ▶ 構造躯体保護の必要性

 ▶ 結露対策

 

【防水メーカーとしての考え方】

 当社では、建物完成後に漏水が発見されても、後から防水工事を実施することは困難であることから、 「二重床+外防水」+「底部防水の実施」を軸に設計し、立地条件やコストに応じて検討することを推奨しています。

POINT

 地下防水を行えば100%防水出来ると考えてしまいそうですが、実際には「後工程の多さ「分割施工」「足場作業」など、屋上防水と比較して施工時の作業環境が悪く、100%の防水は困難です。

特に先やり工法の場合は、土留め面からの湧水等の導水処理、土留め面の平滑処理、セパレーター回りの処理、防水施工後の後工程からの保護、止水版、二重壁の併用等、様々な事を組み合わせて100%の防水に近付ける事を目標に設計してください。

また、防水施工には「後やり工法」が最適です。(防水層の健全な構築には、強固な下地が重要)

3.まとめ

  • 地下防水には、改質アスファルト系、シート系、塗膜・塗布系防水が適用可能です。
  • 地下外壁防水は「先やり工法」、「後やり工法」に大別され、主に掘削範囲の狭い「先やり工法」が採用されています。
  • 地下防水は後施工が困難なため、工法仕様、構造条件、立地条件、コストなどを考慮します。

施工部位ごとにリスクや留意事項が異なるため、対象となる構造物の設計条件などを考慮し、最適且つ実現可能な防水工法、納まりをご提案しますので、地下防水をご検討の際はご相談下さい。