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2022/07/01 問い合わせの多い質問

【5分でわかる!!】断熱材の種類と防水層の相性

屋上防水に使用する断熱材には様々な種類があります。各断熱材と防水層との相性を理解することで、不具合発生のリスクを軽減できます。

そこで今回は、各断熱材の特長と防水工法ごとの適切な断熱材の選定方法を解説します。

この記事の内容

 1. 断熱材の種類と特長

 2. 各断熱材の用途

 3. まとめ

1.断熱材の種類と特長

【断熱工法の種類】

スラブコンクリートの上部(外)に断熱材を敷設する「外断熱工法(USD工法)」と下部(内)に敷設する「内断熱工法」に大別されます。

POINT:外断熱工法は「スラブコンクリート」よりも上側に断熱材を敷設することにより、太陽光などの熱的影響(熱応力)が小さいため、スラブ自体の劣化も小さく、また結露の発生も大幅に軽減できます。

今回は、屋上防水と連動する「外断熱工法」について、解説します。

【断熱材の種類と特長】

屋上防水に使用する断熱材は、大別して「押出法ポリスチレンフォーム断熱材(XPS)」「硬質ウレタンフォーム(PUF)」「ポリエチレンフォーム(PEF)」「フェノールフォーム(PF)」の4種類があります。

それぞれの特長は下表のとおりです。

種類断熱性能寸法安定性吸水性圧縮性能
ポリスチレン
硬質ウレタン
ポリエチレン
フェノール

【各断熱材の一般的な断熱性能】 厚みを50㎜とした場合

種類JIS A 9521:2022(建築用断熱材)熱伝導率 W/m・K熱伝導抵抗値(m2・K)/W
ポリスチレンポリスチレンフォーム断熱材3種bA0.0281.78
硬質ウレタン硬質ウレタンフォーム断熱材2種1号0.0232.17
ポリエチレンポリエチレンフォーム断熱材1種1号0.0421.19
フェノールフェノールフォーム断熱材1種2号C0.0202.50

省エネ基準に当てはめる場合は、適合するJISの要求する熱伝導率で計算します。

2.各断熱材の用途

◎:最適 〇:使用可 △:一部条件下で使用可 ×:使用不可

 保護防水露出防水
アスファルト防水アスファルト防水シート防水接着シート防水機械シート防水デッキ
ポリスチレン×
硬質ウレタン×
ポリエチレン××××
フェノール×××

【用語解説】

  • JISとは?

1949年 日本の工業標準化の促進を目的とする工業標準化法(現 産業標準化法)に基づき制定される任意の国家規格。(日本産業標準調査会の審議を経て、経済産業大臣が改正)

JIS=Japanese Industrial Standards

2019年7月1日 名称が「日本工業規格」から「日本産業規格」に変更されました。

  • JIS A 9521とは?

最新版は2022年3月に改正されたJIS A 9521:2022。

建築用断熱材について規定しており、屋上防水に使用する断熱材は、全てこの規格に適合しています。

(硬質ウレタンフォーム断熱材2種1号又は2号の場合は、透湿係数を除くJIS A 9521 の規格に準ずるものとします)

2014年9月にJIS A 9511に規定されていた建築用発泡プラスチック保温材が統合され、改正された。

  • 省エネルギー基準について

省エネルギー基準は、1979年に「エネルギー使用の合理化に関する法律」(省エネ法)の施行を受け、1980年に制定されました(旧省エネ基準)。それ以降、1992年に新省エネ基準、1999年に次世代省エネ基準(2009年改正)、2013年に改正省エネ基準と内容を見直し、2016年に建築物省エネ法が公布されました。その後、2019年5月に改正建築物省エネ法が公布され、同11月から一部を施行、2021年4月に完全施行されました。

尚、2021年7月に、2050年カーボンニュートラルの実現と2030年度温室効果ガス排出削減目標の達成に向け、小規模建築物(300㎡未満)と住宅を対象に、建築物省エネ法に基づく省エネ基準適合を2025年度に義務化するスケジュール案が公表されました。(2022年4月22日 一部改正)

 

3.まとめ

【アスファルト防水】

保護工法ではポリスチレンフォーム断熱材、露出工法ではウレタンフォーム断熱材を使用します。

【シート防水】

接着工法ではポリエチレンフォーム断熱材を主に使用し、機械固定工法ではポリエチレン以外全ての断熱材が使用可能です。

次回ブログは8月1日(月)公開予定です。