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2022/03/01 防水トレンド情報

【防水不具合低減!】ふくれ現象が低減する脱気装置の使用方法

設計事務所、建設会社から防水工事店にいたるまで、数多くの問い合わせがある中で、今回は「防水における脱気装置」をピックアップして、ご紹介します。

この記事の内容

 1. 脱気装置の目的と公的基準

 2. 脱気装置の種類と概要

 3. まとめ

1.脱気装置の目的と公的基準

【脱気装置の目的】

・気化・膨張した下地水分の排出

・デッキプレートを型枠にしてコンクリートを打ち込んだ屋根スラブ下地(比較的乾燥しにくい下地)

に対して、防水層の膨れを低減(抑制)することに使用します。

「乾燥していないコンクリート下地 →詳細はコチラ≫≫」や「内部結露」などの理由で、下地と防水層の間に残った水分が、気化・膨張するために発生します。

ふくれのメカニズム詳細はコチラ

【公共建築工事標準仕様書等の記載内容】

公共建築工事標準仕様書 平成31年版 9.2.3防水層の種類、種別及び工程

脱気装置の種類及び設置数量は、特記による。特記がなければ、種類及び設置数量は、アスファルトルーフィング類の製造所の指定とする。

建築工事監理指針 令和元年版 9.2.4(キ)

(a)・・・・・・・・設置数量の目安としては、通常、防水層平場25~100㎡に1個程度であるが(表9.2.16参照)、装置によって排出能力が異なるので、正確な分担面積は、アスファルトルーフィング類の製造業者の資料を参考にするとよい。

(b)脱気装置は、通常、保護防水絶縁工法には設けない。・・・・・・・・しかし、近年は、工期短縮、工費低減の要請から、デッキプレートを型枠にして打ち込んだ屋根スラブが多くなっている。このコンクリートは非常に乾燥しにくいので、保護防水工法においても、絶縁工法をとるとともに脱気装置を設けて、積極的に水分の排出を図ることが必要な場合もある。

この保護防水絶縁工法に用いる脱気装置は、立上り部に設ける型式のものが適している。平場設置型のものでは、平場コンクリートの動きによって脱気装置を損壊したり、防水層に損傷を与えるおそれがある。

※表9.2.16はJASS8(建築工事標準仕様書・同解説)の引用ですが、本年第8版において、修正されており以下「解説表1.6.9」をご査収ください。

【建築工事標準仕様書・同解説JASS8の記載内容】

26頁など

脱気装置を設置する場合は,その位置,種類および個数は特記による.

387頁

脱気装置は,防水層25~100㎡に1個取り付けるが,装置により排出能力が異なるので,正確な分担面積は,防水材製造所の資料を参考にすることが望ましい.脱気装置の種類と概要は,解説表1.6.9を参照する.

解説表1.6.9 主な脱気装置の種類と概要(形式は省略)

材質※取付け間隔備考
平場部脱気型

ステンレス鋼・鋳鉄

防水層平場25~100㎡に1個程度.防水面積の大きい場合など,必要に応じて立上り脱気装置を併用することもできる.
立上り脱気型

ステンレス鋼・銅

防水層立上り長さ10m間隔に1個程度.防水面積の大きい場合など,必要に応じて平場脱気装置を併用することもできる.

※第8版(2022年版)より平場部材質から「ポリエチレン」「ABS樹脂」、立上り材質から「合成ゴム」「塩ビ」が削除された。

2.脱気装置の種類と概要

【脱気装置の種類】

脱気装置は、アスファルト系防水や塩ビシート防水、ウレタン塗膜防水など防水工法に応じて適切な種類を選定することが重要です。また、弊社脱気装置は全て「ステンレス製」を採用しています。

-ニューステンレスベント-

アスファルト系防水の平場に使用します。施工者が容易に防水層を「巻き上げる」ことが可能な唯一の製品です。 50~100㎡に1か所を目安に設置します。


-脱気太郎-

ゴムシート防水やウレタン塗膜防水の平場に使用します。ベース部分(フランジ面)に細かい砂粒をラミネートすることにより、防水層との接着強度を高めています。 50~100㎡に1か所を目安に設置します。


-MFベント-

 塩ビシート防水の平場に使用します。ベース部分(フランジ面)に塩ビコーティング(ディッピング)することにより、防水層との接着強度を高めています。 50~100㎡を目安に1か所程度設置します。


-ニューパラベント-

 アスファルト系防水の立上りに使用します。立上り10mに1か所を目安に設置します。

【脱気装置が必要な箇所】

-新築工事- (露出絶縁工法又はアスコン仕上げ採用時)

-改修工事- 保護コンクリート下地 又は 防水層撤去下地

【脱気装置の設置位置例】

40m×20m(800㎡)の屋上には、一般的に8~10個程度の脱気装置を設置します。下図のような建物の場合、棟部分をまたいで、水上側で交互(千鳥)に配置します。

一般的に、水分は圧力がかかると、水下から水上に向けて移動するため、水上側に設置します。また、棟をまたいで水分が移動することが少ないため、上記の様に交互(千鳥)に配置します。

3.まとめ

脱気装置の主目的は「防水層の膨れを低減(抑制)」することにあり、主に露出(断熱)防水に設置します。

・防水工法に応じた脱気装置を選定する。

・50~100㎡に1箇所を目安に設置する。(立上り用は10mに1箇所)

・設置位置は水上側とする。

以上3点に留意してください。

 

次回ブログは4月1日(金)公開予定です。