近代アスファルト防水の歴史
防水の歴史は「アスファルト防水」の歴史と言っても過言ではありません。今回は「近代アスファルト防水の歴史」を弊社製品の変遷と共にご紹介します。
1.近代アスファルト防水のはじまり
1905年、大阪瓦斯事務所において、日本で初めて本格的なアスファルト防水が施工されました。 設計は大正期を代表する建築家である田邊淳吉(たなべじゅんきち)氏です。近代防水のはじまりが1905年と言い換えることができます。
→防水材料は国産(便利瓦)ではなく、外国製品の「MALTHOID(マルソイド)」を使用しています。
2.近代アスファルト防水の歴史(黎明期)
黎明期のアスファルト防水について、ご説明いたします。
1877年(明治10年) 綿、髪の毛などを原料とした手すき和紙に、油を浸透させた紙瓦(かみがわら)と呼ばれる製品が第1回内国勧業博覧会へ出展されました。これが今日のルーフィングの原型と言われています。
1894年、アメリカでブローンアスファルトの製造方法が発明されたことにより、本格的な防水材の歴史が幕を開け、その後1910年代に国産ルーフィングの生産が開始(製紙会社が製造販売)されるまで、外国製品が使用されておりました。
その後、1920年前後に弊社など防水専業メーカーが完全国産化に成功し、今日にいたります。
続いて、第二次世界大戦の終了間もない1950年代、弊社が国内初の改質アスファルトルーフィング「メルタンルーフィング」の生産を開始しました。
時を同じく、1950年にはアスファルトフェルト、アスファルトルーフィング、砂付ルーフィングのJIS規格 JIS A 6001が制定されました。
ちなみに、この年 旧建設省が「建築工事共通仕様書」を制定しています。
続いて1977年 JIS規格の制定に伴い、JISに適合するストレッチルーフィングが各社から発売されました。
1970年代、主に施工者の負担軽減や近隣住民への対策として、煙・臭いが少ない防水工事用アスファルト「マルエスコンパウンド3号、4号」を発売、この3と4の数字は一般地域で使用する3種コンパウンド、寒冷地で使用する4種コンパウンドから名づけられました。40㎏の袋詰めであったアスファルトが1989年頃から25㎏に変更されています。
また、1979年には日本で初めて、改質アスファルトルーフィングとウレタン塗膜防水の複合工法であるユータム防水を発売、1980年代になり「地球温暖化対策」という時代の要請もあり 粘着層付ルーフィングが登場しますが 、20世紀のアスファルト防水イコール 熱工法と考えてください。また、現在では20世紀型アスファルト防水を「在来工法」と呼んでいます。
21世紀になり、更なる環境負荷の低減を目指し、2004年に超環境型防水工事用アスファルト「シグマートE」を発売、現在でも国内で最も煙・臭いの少ないアスファルトとして販売し続けています。
2007年には、アスファルト防水熱工法の特長はそのままに「常温かつ1液」の工法プレストシステムを、2019年には進化系アスファルト防水アスオーブ工法を、2021年には長寿命化・省力化を掲げる「アスリードルーフ」「アスリードコート」を発売しました。
Mizu-Pedia
A.ブローンアスファルトとは?
ストレートアスファルトに空気を吹き込んで(ブローイング)酸化させ、硬さ(針入度)を増したアスファルト。弾力性に富み、耐候性があるため、主に防水建材に使用します。
B.JISの制定
1949年 日本の工業標準化の促進を目的とする工業標準化法(現 産業標準化法)に基づき制定される任意の国家規格。
JIS=Japanese Industrial Standards 2019年7月1日 名称が「日本工業規格」から「日本産業規格」に変更されました。
C.ショーシャンクの空に
1994年に公開されたアメリカ映画。序盤で、屋上防水(タール防水をモップで塗布-1949年設定-)を施工するシーンがあり、当時の貴重な資料としても一見の価値あり。
3.まとめ
最後に内容をもう一度確認してみましょう。
- 近代防水の歴史は1905年にはじまり、防水の歴史は「アスファルト防水」の歴史と言っても過言ではない。
- 近代から現代に至る過程で「地球温暖化対策(環境問題)」「省力化」「高寿命化」など時代の要請と共に進化してきた。
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次回ブログは2023年6月1日(木)公開予定です。