建築防水仕様の選定 重要ポイント解説-新築編-
「アスファルト防水」「シート防水」「ウレタン塗膜防水」は、どの工法を採用したとしても、仕様の選定に必要な考え方は共通しています。そこで今回は、コンクリート造における新築防水の重要ポイントおよび注意事項を解説します。
目次
- 「密着工法」と「絶縁工法」の選定基準
 - 「露出工法」と「保護工法」の選定基準
 - 「断熱工法」と「非断熱工法」の選定基準
 
1.「密着工法」と「絶縁工法」の選定基準
防水工法は「密着工法」と「絶縁工法」に分類され、日新工業では原則「絶縁工法」を推奨しています。
【密着工法】
防水層とスラブを全面接着させる工法で、水密性が高く・比較的動きが小さい(=剛性が高い)建物の屋上に有効です。一方で、スラブ中の水分の逃げ道がないため、防水層の膨れ発生リスクがあります。

【絶縁工法】
防水層とスラブを部分的に接着させる工法で、防水層の追従性向上と膨れ発生を抑制します。一方で、スラブに接着していない部分での漏水発生リスクがあります。

【ポイント】
- 小面積(塔屋など)な部位には、密着工法を推奨しています。
 - 剛性が高い建物の屋上(保護工法)では、水密性を向上させる密着工法も適用可能です。
 - 剛性が高い建物の屋上(露出工法)でも、原則「絶縁工法」を推奨しています。
 
「露出工法」と「保護工法」の選定基準
防水工法は「露出工法」「保護工法」に分類され、「屋上利用の有無」によって、使い分けが必要です。
【露出工法】
防水層が仕上げとなる仕様で、防水層施工後、耐候性向上を目的として仕上塗料を塗布します(塩ビシートなど一部例外あり)。年数回のメンテナンス歩行を除き、非歩行屋上面に選定されます。

【保護工法】
防水層の上に仕上材(保護材)を敷設する仕様で、機器類の設置、不特定多数の軽歩行などで屋上を利用する場合に選定されます。仕上材は保護コンクリートの他、屋上緑化・乾式浮床仕上げなどがあります。

【ポイント】
露出工法 : 「屋上を利用しない」「躯体負荷軽減」が要求される場合に採用
保護工法 : 「屋上を利用する」「耐久性」が要求される場合に採用
3.「断熱工法」と「非断熱工法」の選定基準
防水工法は「断熱工法」「非断熱工法」に分類され、屋根下が居室空間の場合、原則「断熱工法」を推奨します。
【断熱工法】
露出工法では防水層とスラブの間に、保護工法では防水層の上部に断熱材を敷設します。
尚、スラブ面より上部に断熱材を敷設する工法は「外断熱工法」と呼ばれています。

【非断熱工法】
屋根下が居室空間でない場合、小面積(塔屋など)な部位には非断熱工法が多く採用されています。
【ポイント】
- 一般的に、露出工法では硬質ウレタンフォーム断熱材、保護工法ではポリスチレンフォーム断熱材が使用されています。
 - ウレタン塗膜防水における断熱工法は、内断熱仕様を推奨しています。
 


