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2024/09/01 防水トレンド情報

【長寿命化対策】「想定耐用年数」と「高耐久防水」

長寿命化対策には、防水層の「想定耐用年数」を理解することが重要です。そこで今回は、「想定耐用年数」と「高耐久防水」についてご紹介します。

目次

  1. 想定耐用年数とは
  2. 公共建築工事標準仕様の想定耐用年数
  3. 高耐久防水にする方法と、具体的な工法紹介
  4. ライフサイクルコスト

1.想定耐用年数とは

想定される防水層の耐用年数とは、工法ごとに基準となる耐用年数(標準耐用年数)を決定し、様々な要因を係数で掛けた値を指します。旧建設省は、建築物の総合技術開発プロジェクトの一環として、“建築物の耐久性向上技術の開発”(通称:耐久性総プロ)を実施し、日新工業では、その考え方を基に「経年した防水層の劣化診断」により標準耐用年数を決定し、係数を掛けて算出しています。

【係数の概略】

Y(想定耐用年数)=Ys(標準耐用年数)×s×a×b×c×D×M×R+Su

s :工法の選択係数    1.0~1.2(標準1.0) D:劣化外力係数        露出断熱工法 0.8 保護断熱工法 1.2

a :設計係数  0.5~1.3(標準1.0)               M :維持保全係数         0.7~1.0(標準1.0)

b :施工係数  0.7~1.2(標準1.0)               R :仕様係数(各仕様を様々な角度から評価した係数)

c  :気象係数  0.8~1.0(一般季1.0)          Su:仕上塗料や工法による加算年数(詳細はカタログ参照

用語解説「想定耐用年数」

「標準耐用年数」×「8つの係数」で表される年数。耐用年数に達したとは「防水層が何らかの原因で故障し、雨漏りが発生するような状態になったとき」とされています。

用語解説「針入度」

アスファルトなどの硬さを表わす数値のこと。針入度の値が低いほど経年劣化が進行しており、防水層の不具合が発生しやすいため、漏水のリスクが高まります。

2.公共建築工事標準仕様の想定耐用年数

前述した「想定耐用年数」は、弊社仕様の「経年した防水層の劣化診断」であり、2012年に発表された「第2総プロ」から算出した公共建築工事標準仕様の耐用年数は、下表のようになります。

 耐久性総プロ第2総プロ
アスファルト防水保護工法17年20年
アスファルト防水露出工法13年15年
改質アスファルト防水15年
合成高分子系シート防水13年15年
ウレタン系塗膜防水10年15年

 

用語解説「第2総プロ」

耐久性総プロから約20年、工法・仕様の多様化を踏まえて独立行政法人建築研究所が2012年3月「建築物の長期使用に対応した材料・部材の品質確保ならびに維持保全の開発に関する検討委員会報告書」を作成しました。この報告書は通称「第2総プロ」と呼ばれています。

 

3.高耐久防水にする方法と、具体的な工法紹介

【高耐久防水とするには?】

防水層を「高耐久」とするには、以下3点の強化が重要となります。 尚、露出防水工法では「高耐候性遮熱塗料」を採用することにより、更なる耐用年数の向上につながります。

アスファルト系防水でしか「積層枚数を増やす」ことが出来ません。つまり

高耐久防水 = アスファルト系防水 !!

 

用語解説「高耐久防水の定義」

弊社では、高耐久防水を工法毎に以下のように定義しています。

露出工法 : 45年を超える防水仕様

保護工法 : 55年を超える防水仕様

【4つの高耐久防水工法】

-ピロウエルド新熱工法-

従来型アスファルト防水と比較して「ルーフィングを強化」した工法です。高耐久防水工法の中で、最も「実績」が多く、「コスト」を抑えた施工が可能です。

-アスオーブ工法-

従来型アスファルト防水と比較して「ルーフィングを強化」し、「アスファルト溶融釜」を使用しない工法です。高耐久防水工法の中で、最も「環境に配慮した工法」で、「施工速度が速く」工期短縮が可能です。

-アスリード工法-

従来型アスファルト防水と比較して「ルーフィング・アスファルトを強化」し、高耐久防水工法の中で最も「想定耐用年数」が長い工法です。

-アスファイン工法-

アスリード工法と同じ性能を有しつつ、砂付ルーフィングをフィルムルーフィングに変更した工法です。高耐久防水露出工法の中で、最も「想定耐用年数」が長い工法で、「意匠性」に優れています。

4.ライフサイクルコスト

高耐久アスファルト防水を採用することで、「ライフサイクルコストの軽減」が可能で、建物の改修頻度を少なくすることにも繋がります。

【保護工法のライフサイクルコスト(LCC)比較】

 仕様(積層枚数)想定耐用年数※1設計価格/㎡※2LCC/年※3
公共建築仕様A-1(4枚)20年(24年)15,500円775円/㎡
ピロウエルドFP-11(4枚)75年(80年)27,500円366円/㎡
アスオーブFO-11(3枚)55年(60年)23,600円429円/㎡
アスリードFAL-11(3枚)80年(95年)34,400円430円/㎡

【露出工法のライフサイクルコスト(LCC)比較】

 仕様(積層枚数)想定耐用年数※1設計価格/㎡※2LCC/年※3
公共建築仕様D-1(4枚)15年(12年)21,000円1,400円/㎡
ピロウエルドSPE-2(3枚)55年(45年)29,500円536円/㎡
アスリードSALE-2(3枚)55年(45年)32,700円594円/㎡
アスファインSALE-3(3枚)60年(50年)38,800円646円/㎡

※1 括弧内は断熱工法の年数  ※2 2024年8月時点の価格  ※3 LCC=設計価格÷想定耐用年数

 

まとめ

建物の長寿命化対策に「高耐久防水の採用」は不可欠で、想定耐用年数から鑑みたメリットは以下2点が挙げられます。

  • ライフサイクルコストの大幅軽減
  • 改修頻度の大幅軽減