ルーフィングの「抗張積」とは?
アスファルト防水に使用する「ルーフィング」の力学性能の指標として使用される「抗張積」をご存じでしょうか? 意外と知られていない「抗張積」を総合防水メーカーの視点からご紹介します。
この記事の内容
1. 抗張積とは?
2. 抗張積から得られること
3. まとめ
1. 抗張積とは?
抗張積とは、ルーフィングの「引張強さ」と「伸び率」を掛けたものを指します。
ルーフィングのパワー(力学的性能)を示す指標として、一般的に使用されています。
抗張積(N・% /cm) = 引張強さ(N/㎝) × 伸び率(%)
【用語解説】 引張強さ : ルーフィングを機械で引っ張り、切れてしまった(破断)際の数値 伸び率 : 上記でルーフィングが伸びた量 |
【抗張積を使用するルーフィングの種類】
アスファルト防水に使用する「ストレッチルーフィング」や「改質アスファルトルーフィング全般」や塗膜防水で使用され、JIS(日本産業規格)の試験項目にも記載されています。一方、塩ビシート防水やゴムシート防水でも計算上は求めることが可能ですが、一般的な指標としては使用されていません。
【抗張積の必要性】
抗張積が何故必要なのでしょうか?
これは「引張強さ」が良く「伸び率」が悪い場合、または「引張強さ」が悪く「伸び率」が良い場合など、どちらか一方の能力に偏っている場合、ルーフィングの性能が優れているとはいえなく、二つの積(掛け合わせる)を求めることで、バランスのとれたルーフィングであるかを分かり易くするためです。
【付随する性能】
「3%引張強さ」という指標があります。
これは最大荷重時の伸び率を基準とし、3%ルーフィングが伸びた時の荷重を指します。
ルーフィングを評価する上で「抗張積」の数値が同じ場合、この「3%引張強さ」が強い方が優れていると判断することができます。
2. 抗張積から得られること
ルーフィングのパワー(力学的性能)を示す指標として、ルーフィング同士や異なる工法を比較する際に広く使用されています。しかしながら、この数値が高いイコール優れているというわけではありません。それは力学性能以外にも必要な品質が数多くあるためです。
また、防水性能は一般的に
1.ルーフィングの積層枚数
2.工法によるルーフィング同士の水密性
3.防水層の厚さ
4.抗張積
5.施工する職人の技量
6.下地の精度
の6大要素で決定されるため、分かりやすい一つの尺度として捉えてください。
3. まとめ
・抗張積はルーフィングのパワー(力学的性能)を示す指標として、一般的に使用されている。
・あくまで指標の一つであり、その数値だけでは判断できない。
次回ブログは3月1日(水)公開予定です。