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2024/04/01 問い合わせの多い質問

【防水施工者必見】シート系防水と塗膜防水の取り合い

シート系防水は、架台など施工しにくい箇所で、塗膜防水を併用する場合がありますが、相性を考慮せずに併用すると不具合が発生する恐れがあります。

そこで今回は、架台回りの「シート系防水と塗膜防水の取り合い」について解説します。

 

目次

  1. 主な取り合い
  2. アスファルト系防水の具体的な処理例
  3. まとめ

 

1.主なシート系防水と塗膜防水の取り合い

 「シート系防水と塗膜防水の取り合い」とは、平場をシート系防水、架台などの複雑部位に塗膜防水を施工する場合の界面(接触する部分)を意味し、その処理(防水層の層間処理)が重要になります。

シート系防水と塗膜防水が取り合う箇所では「伸縮の相違」「可塑剤」「シートの特性」「溶剤」など様々な要因で不具合が発生します。

【主な不具合要因】

  • 伸縮の相違: 材質の異なる2種の防水層では、温度変化等による動きが異なるため、防水層が破断してしまう恐れがあります。(不具合の主因)
  • 可塑剤  : シートや塗膜防水層に含まれる可塑剤が移行し、他方の防水層を軟化させ、「伸縮の相違」との複合的要因で、防水層同士が「剥離(肌別れ」します。またブリード現象による表面変色を引き起こします。(溶剤の影響にも考慮)
  • 接着性能 : ゴムシートなどは、異種の材質との接着性が良好ではありません。

 

【可塑剤とは】

可塑剤とは「材料を柔らかくする性質を有する添加剤」です。可塑剤を含む異種の防水層が接触する部位では、濃度平衡により可塑剤が多い防水材から少ない防水材へ移行するため、他方(移行先)の防水層が軟化してしまいます。

防水材料では塩ビシートやウレタン系塗膜防水材に多く含まれ、ゴムシートには含まれていません。

 

シート系防水と塗膜防水との取り合いは、「3種のシート」と「2種の塗膜」を組み合わせた6パターンがあります。

 アスファルト系塗膜防水ウレタン系塗膜防水
①アスファルト系防水
②塩ビシート防水×
③ゴムシート防水×

 

【①アスファルト系防水】

 「アスファルト系塗膜防水」との組み合わせは、シートと同質系であることから最も相性が良好です。

 

【②塩ビシート防水】

 「ウレタン塗膜防水」との組み合わせは、「可塑剤」「接着性能」対策としてプライマー処理(界面処理)することにより施工可能です。

【③ゴムシート防水】

 「ウレタン塗膜防水」との組み合わせは、「接着性能」対策としてプライマー処理(界面処理)することにより施工可能ですが、ゴムシート自体が異種の材料との接着性能が良好ではありません。

 

2.アスファルト系防水の具体的な処理例

当社では、アスファルト系防水専用の塗膜防水を2種類ご用意しており、シートと同質系であることから、最も相性が良好です。

 特長適用仕様適用部位
アスリード工法防水性能・省力化アスリード仕様架台、立上り
キュービックコート環境性能全ての仕様架台、立上り

 

【アスリード工法】

  超耐久加熱型改質アスファルト塗膜防水工法です。シートと同質系で、平場と同じ製品を使用していることから、最も相性が良好です。

【キュビックコート】

  常温で施工可能な常温型アスファルト塗膜防水工法です。シートと同質系であり、架台回り専用に開発されており、相性が良好です。

【仕上げ例】

平場  : アスファルト防水露出仕様+アスファルト成形板仕上げ

立上り : キュービックコート+仕上塗料

3.まとめ

【アスファルト系シート防水とアスファルト系塗膜防水の組み合わせ】

シート系防水は、架台など施工しにくい箇所で、塗膜防水を併用する場合がありますが不具合発生リスクを軽減するため、可能な限り「同質系」材料での施工が望ましいことが分かります。→複雑部位がある場合には、シート・塗膜を同質系でそろえることが可能な、アスファルト系防水を推奨しています。

 

【塩ビシート防水とウレタン系塗膜防水の組み合わせ】

塩ビシート防水等でも適切な界面処理をすれば施工可能であることが分かります。