設計価格
カタログ
2023/08/01 問い合わせの多い質問

仕様書の種類と改定状況

設計事務所、建設会社から防水工事店にいたるまで、数多くの問い合わせがある中で、今回は「仕様書」にフォーカスしてご紹介します。

この記事の内容

  1.  仕様書の種類
  2.  仕様書の改定状況
  3.  まとめ

 

1.仕様書の種類

仕様書は、5つに大別されます。

【① 国土交通省 公共建築(改修)工事標準仕様書】 最新版 令和4年版

  • 1950年に 旧建設省が制定した「建築工事共通仕様書」がはじまりです。 →近年まで4年に1回の改定でしたが、現在は3年に1回改定されています。
  • かつては「文部省」「法務省」「郵政事業庁」など省庁ごとに作成されていましたが、現在では「公共建築工事標準仕様書」に統合されています。
  • 「建築工事編」「機械設備工事編」「電気設備工事編」があり、住宅局管轄の「公共住宅建設工事共通仕様書」や、木造仕様である「公共建築木造工事標準仕様書」などもあります。
  • 東京都は、独自の仕様書を制定しています。(東京都建築工事標準仕様書)

 

【② 日本建築学会 JASS】 最新版 2022年度版

  • 1952年に「建築工事標準仕様書案」の公表し、1962年にはじめてJASS8を発刊しました。(末尾の8は防水工事) →「建築防水の最高権威」と言われています。
  • 一般社団法人日本建築学会(Architectural Institute of Japan、略称 AIJ)は、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的とし、1886年(明治19年)に設立された日本の学会です。
  • 大手ゼネコン各社が制定している建設会社仕様もあります。

 

【③ 日本建築家協会JIA】 最新版 2023年度版

  • 1965年にはじめて建築工事共通仕様書を発刊しました。 →毎年改定され、所管は近畿支部。
  • 公益社団法人日本建築家協会(The Japan Institute of Architects、略称 JIA)は、建築士(設計士)の団体、1947年に日本建築設計監理協会として発足しました。
  • 大手設計事務所各社が制定している設計事務所仕様もあります。

 

【④メーカー仕様】

  • 約200社程度ある、防水メーカー独自の仕様書です。→最新技術を最も早く導入し、用途に応じて最も多くの仕様を保有しています。

アスファルト系   : 日新工業、田島ルーフィング、昭石化工など

改質アスファルト系 : 日新工業、田島ルーフィング、宇部興産建材など

シート防水系    : 日新工業、ロンシール工業、アーキヤマデなど

塗膜防水      : 日新工業、シーカ・ジャパン、AGCポリマー建材など

 

【その他】

  • UR都市機構、ディベロッパー、防水施工業者の独自仕様書などがあります。

 

2.仕様書の改定状況

主な仕様書の改定状況について、ご説明します。

【公共建築(改修)工事標準仕様書】 最新版 令和4年版(旧版は平成31年版)

アスファルト防水

  • あなあきルーフィングを使用する屋根保護防水絶縁工法【B・BI仕様】および屋根露出防水絶縁工法【D仕様】のあなあきルーフィングを用いた仕様が、「部分粘着層付」と併記になりました。
  • 立上り部のれんが押えを「特記」扱いになりました。
  • 保護防水非断熱工法【A仕様】【B仕様】【E仕様】の絶縁用シートは、フラットヤーンクロスが選択可能になりました。(従来はポリエチレンフィルムのみ)

 

改質アスファルト防水

  • 大きな変更点はありません。

 

合成高分子系シート防水

  • S-M3(熱可塑性エラストマー系)仕様が削除されました。
  • 仕様をすべて非歩行仕様に統一し、軽歩行は特記になりました。
  • 断熱材上に施工する絶縁用シートを、「可塑剤移行防止用シート」に変更されました。(改修標仕における非断熱仕様S-M2では引き続き「絶縁用シート」と表記)

 

塗膜防水

  • 「硬化物密度」を「硬化物比重」と語句が変更されました。
  • ウレタンゴム系高強度形塗膜防水(高強度ウレタン吹付け)が改修標仕に採用されました。(X-1H、X-2H)

 

ケイ酸質系塗布防水

  • 大きな変更点はありません。

 

改修標仕一般

  • 施工実態により、立上り防水層の撤去を行わない場合があるため、一部の仕様において立上り非撤去が【特記】になりました。
  • 改修部における石綿含有建材の除去を、「9章1節石綿含有建材の除去工事による」と明確化されました。(平成31年版では「監督職員と協議」のみの記載)

【日本建築学会 JASS】 最新版 2022年度版(旧版は2014年度版)

語句の変更

  • 旧仕様書(2014年度版)では、防水工事を「メンブレン工事」「ステンレスシート防水工事」「ケイ酸質系塗布防水工事」と表記していましたが、新仕様書(2022年版)では3つをまとめて「面防水工事」と語句を変更しています。また、「シーリング工事」から「目地防水工事」へと語句を変更しています。

 

カテゴリーの追記

  • 各防水工法を「張る工法」「固定工法」「塗る工法」「張る+塗る工法」にカテゴリー分けを行っています。

 

アスファルト防水工事    : 面材・不定形材積層防水工事

改質アスファルトシート防水 : 面材張付け防水工事、面材固定防水工事

合成高分子系シート防水工事 : 面材張付け防水工事、面材固定防水工事

塗膜防水工事        : 不定形材塗布、吹付け防水工事

 これらを総称して「面防水工事」(2014年度版ではメンブレン防水)

 

節の構成を変更

旧仕様書(2014年度版)は「材料別」、新仕様書(2022年版)では「工法別」の構成になっています。

 

工法の新設

  • 面防水工事の中に「ポリマーセメント系塗膜防水工事」を新設しています。
  • 付録として「ガスケット工事」を新設しています。

【日本建築家協会 JIA】 最新版 2023年度版(旧版は2022年度版)

  • 9.4 合成高分子系ルーフィングシート防水「2.種別」において、JASSとの整合を図るため「絶縁用シート」を「可塑剤移行防止用シート」に改訂
  • 9.7 ケイ酸質系塗布防水「2.種別」において、JASSとの整合を図るため種別の表記を「C-SUI」「C-SUP」に改訂(改訂前は「C-UI」「C-UP」)
  • 9.8 シーリング「2.材料」において、前回の改訂時(2022年度版)に誤記があったため、金属とALC、金属とGRCの組合せのシーリング材の種別を修正

 

3.まとめ

  • 「仕様書」は5つに大別され、主な仕様書は直近1年で改定されています。(公的仕様書に大きな変更はありません)

当社仕様書では、「長寿命化対策(高耐久)仕様」「省力化仕様」などを上市しています。関連ブログは下記をご参照ください。