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2022/09/01 防水トレンド情報

【5分で分かる】防水工法の種類と特長

本格的な建築防水の誕生から110余年。現在、防水工法にも多くの種類があり、その種類と特長を把握するのも一苦労です。そこで今回は、総合防水メーカーの視点から各防水工法を分かりやすく、まとめて紹介します。

この記事の内容

 1. 防水工法の種類

 2. 防水工法の種類と特長

 3. まとめ

 

1.防水工法の種類

防水が施されている箇所は多岐に亘り、「建築防水」「住宅防水」「土木防水」などに分類されています。今回はマンションやビルなどに使用する建築防水にフォーカスしてご紹介します。

防水工法は、下表のとおり4つに大別されます。

赤字:官公庁が「露出仕様」「保護仕様」共に採用している工法  青字:官公庁が「露出仕様」で採用している工法

 

2.防水工法の種類と特長

2-1 アスファルト防水とは?

防水シート(ルーフィング)を、液状のアスファルト(防水工事用アスファルト)により張り付ける工法です。溶融釜で融かした高温のアスファルトを使用する「熱工法」と、常温のアスファルトを使用する「常温工法」などがあります。

防水工法長所短所備考
熱工法最も優れた防水性能、実績施工時の臭い・煙主に新築工事
常温工法上記及び環境性能やや価格が高い新築・改修共

【POINT】

官公庁などの重要建物には「アスファルト防水熱工法保護仕様」が採用されています。近年その環境対応版である「常温工法」の採用が増えています。

 

2-2 改質アスファルト防水とは?

強化したアスファルトルーフィング(改質アスファルトルーフィング)を張り付ける工法です。火(トーチバーナー)で炙り張り付ける「トーチ工法」、粘着層により張り付ける「常温粘着工法」、ビス等を用いて張り付ける「機械固定工法」などがあります。

防水工法長所短所備考
トーチ工法施工性能、寒冷地対応、実績火気の使用新築・改修共
常温粘着工法環境性能、実績やや価格が高い主に改修工事
機械固定工法施工速度騒音、耐風圧性主に新築工事

【POINT】

「トーチ工法」と「常温粘着工法」で殆どのシェアを占め、前者は寒冷地や施工性、後者は環境性能に重視した建物に多く採用されています。改修工事では、既存(元々ある)防水層がアスファルト防水の場合に最適です。

 

2-3 合成高分子系シート防水とは?

様々な合成ゴムを主成分とする防水シートを接着剤や、ビス等を用いて張り付ける工法です。塩化ビニル樹脂系の「塩ビシート防水」、加硫ゴム系の「ゴムシート防水」、熱可塑性エラストマー系の「TPEシート防水」などがあります。

防水工法長所短所備考
塩ビ接着工法意匠性、実績、施工速度鳥害主に新築工事
塩ビ機械固定工法寒冷地に最適、耐薬品性耐風圧性、鳥害主に改修工事
ゴム接着工法寒冷地に最適、施工速度防水性能、鳥害主に新築工事
ゴム機械固定工法環境性能防水性能、耐風圧性、鳥害主に改修工事
TPEシート防水環境性能実績が少ない 

※「鳥害」は特に、ポリエチレンフォーム断熱材(柔らかい断熱材)を使用した工法で発生する傾向があります。

【POINT】

改修工事では「塩ビシート防水機械固定工法」が多く採用されています。様々な下地に対応可能な反面、アスファルト系防水と異なり、台風時などの飛散のリスク(耐風圧性に劣る)が高い傾向にあります。

 

2-4 塗膜防水とは?

様々な合成ゴムを主成分とする液状の防水材を刷毛、ゴムベラなどを用いて塗り付ける工法です。「ウレタン系」「アスファルト系」「クロロプレン系」と、繊維強化プラスチック(FRP)を使用した「FRP系」などがあります。

防水工法長所短所備考
ウレタン系意匠性、実績下地の影響を受けやすい塗膜防水の代名詞
アスファルト系アスファルト系防水との相性実績主に地下防水
クロロプレン系最も優れた意匠性環境性能 
FRP系歩行強度施工可能部位が限定主に戸建住宅

【POINT】

ウレタン塗膜防水で殆どのシェアを占めています。アスファルト系は主に地下防水や、改質アスファルト防水との併用、クロロプレン系は意匠性を重視した建物や塩害地域、FRPは室内や戸建住宅など比較的限定した用途に使用します。

 

3.まとめ

  • 建築防水における防水工法には、大別して4つの工法がある。
  • 新築工事では、アスファルト防水熱工法の採用が最も多い。
  • 改修工事では、

 ①改質アスファルト防水トーチ工法、常温粘着工法

 ②塩ビシート防水機械固定工法

 ③ウレタン塗膜防水

  の採用が多い。

  • 改修工事では、建物特性、既存防水層の種類、地域特性などにより防水工法の選定が異なるため、専門業者(防水材料メーカーや防水工事店)への相談が必須。

防水工法の比較表はこちらから

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次回ブログは10月1日(土)公開予定です。