【大規模修繕費で悩んでいる方専用】高耐用防水層で約三千万をコストカットする方法
建築物の長寿命化はサステナブル建築の実現に貢献します。これは防水層も例外ではなく、高耐用のアスファルト防水を新築時に施工する事で、改修の回数を削減することができ、環境への負荷を軽減することが可能です。また、意外と知られていませんが、高耐用防水を施工することで、大幅にランニングコストを削減し、居住者の金銭的負担を軽減する事にもつながります。そこで今回は、防水工法別のライフサイクルコストを、総合防水メーカーの視点からご説明します。
この記事の内容
1. 耐用年数から見るコスト
2. ライフサイクルコスト
3. まとめ
1.耐用年数から見るコスト
防水仕様により、コストや耐用年数は異なります。それにより、一見高く見える防水仕様でも長い年月で考えると、経済的な場合があります。
尚、想定される耐用年数は、建設省(現国土交通省)の総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上の技術の開発」(通称:耐久性総プロ)と、その考え方を基に日新工業で過去に実施した旧防水層の劣化診断により測定された数値から計算しています。
【用語解説】 ・イニシャルコスト(IC) :初期費用(新築時の防水層にかかる費用) ・ランニングコスト(RC) :維持費用 ・ライフサイクルコスト(LCC) :全体費用(イニシャル+ランニングコスト) |
防水工法は「露出工法」と「保護工法」に大別されます。工法毎のコスト(IC)と1年あたりのコストは下記のとおりです。
【露出工法】
防水工法 | 適用 | 耐用年数 | IC/年 | IC/㎡ |
---|---|---|---|---|
アスファルト防水 | 4枚張り(D-1) | 13年 | 1,300円 | 16,900円 |
2枚張り(SP-2) | 28年 | 615円 | 17,200円 | |
3枚張り(SPE-2) | 55年 | 475円 | 26,100円 | |
改質アスファルト防水 | トーチ工法1枚張り(AS-2) | 13年 | 885円 | 11,300円 |
トーチ工法2枚張り(ST-2) | 35年 | 500円 | 17,500円 | |
シート防水 | ゴムシート接着(S-F1)1.2㎜ | 13年 | 639円 | 8,300円 |
塩ビシート接着(S-F2)2.0㎜ | 13年 | 808円 | 10,500円 | |
塩ビシート機械固定(S-M2)1.5㎜ | 13年 | 985円 | 12,800円 | |
ウレタン塗膜防水 | 絶縁工法(X-1) | 10年 | 1,720円 | 17,200円 |
密着工法(X-2) | 10年 | 1,460円 | 14,600円 |
【保護工法】
防水工法 | 適用 | 耐用年数 | コスト/年 | コスト/㎡ |
---|---|---|---|---|
アスファルト防水 | 4枚張り(A-1) | 20年 | 680円 | 13,600円 |
2枚張り(FP-2) | 30年 | 424円 | 12,700円 | |
4枚張り(FP-11) | 70年 | 359円 | 25,100円 |
括弧内の黒字は公共建築標準仕様、赤字はメーカー仕様
2.ライフサイクルコスト
建物の寿命は約80年。防水仕様により改修サイクルが大きく異なります。
露出工法にフォーカスして、3つのパターンでのライフサイクルコスト(全体コスト)をご紹介します。
①新築時「塩ビシート防水接着工法」で施工し、「塩ビシート防水機械固定工法」で改修した場合
②新築時「アスファルト防水(SP-2)」で施工し、「改質アスファルト防水トーチ工法」で改修した場合
③新築時「高耐久アスファルト防水(SPE-2)」で施工し、「改質アスファルト防水トーチ工法(ST-2)」で改修した場合
【屋根面積が1,000㎡の場合のライフサイクルコスト概算(防水)】
①塩ビシート防水 | ②アスファルト防水 | ③高耐久アスファルト防水 | |
---|---|---|---|
初年度 | 10,500,000円 | 17,200,000円 | 26,100,000円 |
14年目 | 12,800,000円 | 2,900,000円 | - |
28年目 | 12,800,000円 | 17,500,000円 | 3,800,000円 |
42年目 | 15,800,000円 | 2,900,000円 | - |
56年目 | 12,800,000円 | 2,900,000円 | 17,500,000円 |
70年目 | 12,800,000円 | 11,300,000円 | 2,900,000円 |
合計 | 77,500,000円 | 54,700,000円 | 50,300,000円 |
赤字:仕上塗料の塗り替え+表面清掃(高圧水洗浄)
下地処理や立上り撤去費用、仮設足場などは省略
【用語解説】 ・被せ工法 :元々ある防水層を撤去しないで、その上に防水層を重ねる工法 ・撤去工法 :元々ある防水層を撤去して、新たに防水層を施工する工法 |
↓ 防水で大規模修繕費3000万円をコストカットする方法 「まとめ」はこちら ↓
3.まとめ
・高耐久防水のイニシャルコストは高いが、耐用年数が高く1年あたりのコストは安価。
・アスファルト系防水は、積層枚数により様々な使い分けが可能。
但し、塩ビシート防水やウレタン塗膜防水には、ライフサイクルコストからは見えないメリットがあります。
【塩ビシート防水のメリット】
「優れた意匠性・施工性」「工期の短縮」「仕上塗料不要」
【ウレタン塗膜防水のメリット】
「優れた意匠性」「複雑部位への適応」「改修容易性」
次回ブログは11月1日(火)公開予定です。